モデル・ファッションアイコンが「私物バッグ」で明かした愛用香水:Vogue『In The Bag』や私服スナップ常連のニッチ名香
ファッション誌の「バッグの中身」企画や私物紹介には、香水がよく登場します。そこに並ぶのは、ル ラボ、バイレード、ディプティック、フエギアなど、男女で分けないニッチ香水が中心です。この記事では、ファッションのアイコンやモデル、スタイリスト、バイヤーが、取材で実際に挙げた香りを集めました。服を選ぶように香りを選ぶ人たちの言葉から、香水の新しい楽しみ方が見えてきます。
2026.10.24 · 7分で読めます

ファッションの人がニッチ香水を選ぶ理由
2017年、米国のファッションメディア『Fashionista』は、ファッションと美容の業界で働く50人に匿名でシグネチャーの香りを聞きました。答えは50人で50種類。業界の人ほど「みんなと同じ香り」を避ける傾向があることが分かります。それでも、取材の記事を読み比べると、選ばれる香りにはいくつかの共通点があります。以下は記事の言葉から読み取れる傾向です。
ファッションの人の香り選び
- 服のじゃまをしない:WWDJAPAN の取材では「香りは着こなしの一部」「コーディネートの調味料」という言葉が並ぶ。主張しすぎないドライなウッディやスキンセント(肌そのものの香りのような控えめな香り)が好まれる
- 男女で分けない:メンズもレディースも扱うファッションの人にとって、性別で分けない香りは使いやすい
- 物語がある:いちじくの木陰、アメリカ西部、パリのバー。情景のある香りは、服のテーマとも重ねやすい
ファッションアイコンの香り
ジェーン・バーキン:ミラー ハリス「ラ デ リヤン」
エピソード:エルメスのバッグにその名を残すジェーン・バーキンは、じつは香水が苦手でした。たいていの香水は「自分らしくない」と感じていたからです。そんな彼女が2006年に、英国の調香師リン・ハリスと一緒に作ったのがラ デ リヤンです。名前は「なんでもない空気」。ボトルには、バーキン自身が描いたニンフ(妖精)の絵があしらわれています。
ヘイリー・ビーバー:エクス ニヒロ「フルール ナルコティック」
エピソード:モデルのヘイリー・ビーバーは、2023年の英国版『Harper's Bazaar』の取材で、いろいろな香りを試すけれど、いつも戻ってくるのはエクス ニヒロのフルール ナルコティックだと話しています。
どんな香り?:ライチ、ベルガモット、ピーチのみずみずしい始まりから、ピオニー、ジャスミン、オレンジブロッサムの花へ。ベースにはムスクとウッド、モスが残ります。果実と花の、明るく軽やかな香りです。
「ファッションの人の匂い」になったサンタル 33
エピソード:2011年にフランク・ヴォルクルが作ったサンタル 33 は、米国の『Who What Wear』に「ファッションの人の匂い」と書かれるほど、業界で愛されてきました。2015年には米紙ニューヨーク・タイムズが、知る人ぞ知る香りから「どこへ行っても香ってくる香水」になったと取り上げています。英語版ウィキペディアでは、愛用者としてアレクサ・チャンや美容ブランド創業者のエミリー・ワイスの名前が挙げられ、ビヨンセがビジュアルアルバム『レモネード』の映像で、同じル ラボのキャンドル「サンタル 26」をともしていたことも紹介されています。日本でも、メンズノンノの2025年の企画で、スタイリストの遠山 淳さんが「2年ほど愛用」とこの香りを挙げています。
日本のファッション業界人の私物香水
WWDJAPAN は2022年7月、ファッション業界で働く12人に、服と香りの合わせ方を聞いています。メンズノンノも2025年3月に、美容師やスタイリスト11人の愛用香水を紹介しました。その中から、香りの方向がよく分かるものを紹介します。
長尾悦美さん(高島屋のクリエイティブディレクター):ル ラボ「ローズ 31」
「香りをまとうことは、ジュエリーを身につける感覚に似ています」。2006年に発売されたローズ 31 は、バラを主役にしながら、クミンなどのスパイスと木の香りを合わせて、甘くなりすぎないように仕立てた香りです。調香はダフネ・ブジェ。男性がつけても似合うバラとして知られています。
記虎ミアさん(モデル):ディプティック「フィロシコス」
濱本愛弓さん(スタイリスト):フエギア 1833「ヤグアレテ」
「香りは着こなしの一部です」。アルゼンチンのフエギア 1833 が2016年に出した香りで、ムスクとアンバーグリス(マッコウクジラ由来の香料。今はほぼ合成で再現)を中心にした、肌に近い香りです。フエギアについては「カルト・ニッチフレグランス8選」でも紹介しています。
白石理絵さん(ヘア&メイクアップアーティスト):バイレード「ヤング ローズ」
山野邉彩美さん(トゥモローランドのバイヤー):サノマ「1-24」
「毎日スタイリングをする上で、香水は欠かせないアイテムです」。サノマ(çanoma)は「日本人のための香水」をコンセプトに2020年にデビューした日本のブランドで、香水の名前が日付になっています。くわしくは「アジア発ニッチ香水の波」で紹介しています。
HARA さん(スタイリスト):バイレード「ジプシー ウォーター」
稲垣 魁さん(美容師):コム デ ギャルソン「オードゥール 53」
「人工的に感じない、フレッシュで石けんのような香りで、すぐに清潔感が出る」と紹介されています。オードゥール 53 は、花や果実ではなく、酸素や洗いたての洗濯物、燃えたゴムのような「香水らしくない」53の要素を組み合わせた、コム デ ギャルソンの実験的な香りです。
TAKU さん(スタイリスト):エルメス「H24」
ファッションの人に学ぶ、服と香りの合わせ方
服と香りを合わせる3つのコツ
- 01素材で合わせるリネンや白シャツには石けんやティーの香り、ウールやレザーにはウッディやスモーキーな香り。服の手ざわりと香りの質感をそろえると、まとまりが出ます
- 02色で合わせる白や生成りの服にはムスクや花の香り、黒や濃い色の服にはインセンスやレザー。「ジュエリーのように」香りを足す感覚です
- 03量はひかえめに服が主役の日は、香りは1〜2プッシュ。近づいたときにふっと香るくらいが、いちばんおしゃれに見えます
今回紹介した香りの多くは、肌になじむスキンセントやウッディです。同じ方向の香りは「スキンセントとティーのニッチ香水」や「最初のニッチ香水で失敗しない名作10選」でも紹介しています。
この記事に出てくる
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出典(9)
- Fashionista「We Asked 50 Fashion and Beauty Insiders to Name Their Signature Scents(2017年3月)」
- Wikipedia(英語版)「Lyn Harris」
- Grazia UK「Jane Birkin's beauty legacy and her Miller Harris perfume」
- HELLO!「I tried Hailey Bieber's favourite perfume」
- Who What Wear「This Is Basically What Fashion People Smell Like」
- Wikipedia(英語版)「Santal 33」
- Wikipedia(英語版)「Le Labo」
- WWDJAPAN「香水とファッションのペアリング おしゃれ賢者愛用のフレグランス12選(2022年7月)」
- メンズノンノウェブ「旅行にも持っていきたい!おしゃれな人の愛用香水11選(2025年3月)」
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