ル ラボの歴史とブランド哲学:名前の数字の意味、街ごとの限定香水、代表作7本の読み解き
白いラベルに、素材の名前と数字。ル ラボの香水は、瓶を見ただけでそれと分かります。ただ、名前の数字が何を表しているのか、なぜ店を「ラボ(研究室)」と呼ぶのかは、意外と知られていません。この記事では、公式サイトと公開情報からブランドの成り立ちとルールを整理し、代表的な7本の香りを読み解きます。
2026.10.24 · 6分で読めます

2006年、ニューヨークのノリータで始まった
ブランドの哲学:「意図」と「手」と、ワビサビ
公式サイトの「About Us」には、ブランドが信じていることが箇条書きのように並んでいます。たとえば「香水の魂は、それが作られるときの意図から生まれる」。手で摘んだバラ、手で注いだキャンドル、手で調合した香水のように、「考え抜いた手」の力を信じている、とも書かれています。
同じページには、ニューヨークという街が自分たちをこうさせた、そこに少しのワビサビ(不完全さや移ろいの中に美しさを見る、日本の美意識)とソローの文章が加わった、という一文もあります。動物実験をしないことも、ニューヨークらしい皮肉を込めて宣言されています。
ル ラボは店舗を「ラボ」と呼びます。公式サイトでは東京の店を「our Tokyo labs」と書き、ラボテクニシャン(店で香水を扱うスタッフ)が働く姿を紹介しています。ラベルには名前などを入れることができ、何も入れない場合は「For: You」と印字されると案内されています。
名前の数字は何を表しているのか
ル ラボの香水の名前は、「中心となる素材の名前」と「その香りに使われている素材の数」でできている、と英語版Wikipediaは説明しています。たとえばサンタル 33は、サンダルウッドを中心に33の素材で組み立てた香り、という意味です。公式サイトでも、ウード 27の説明に「27の濃密な夜に蒸留した千夜一夜物語」という言葉遊びがあり、数字と処方の関係がうかがえます。
ここで覚えておきたいのは、名前の素材が必ずしも「いちばん強く香る素材」ではないことです。たとえばローズ 31について、公式は「グラースのバラを、はっきりと男性的で、誰にでもつけられる香りに変える」ことを目標にしたと書いています。名前から想像する香りと、実際の香りのずれを楽しむのも、ル ラボの楽しみ方のひとつだと考えます。
また、「シティ エクスクルーシブ」と呼ばれる、特定の都市の店でしか一年中は買えないシリーズがあります。公式によると、毎年8〜9月には世界中で手に入る期間があります。日本に関係するものでは、東京の「ガイアック 10」と京都の「オスマンサス 19」がリストに入っています。ガイアック 10は、ガイアックウッド(南米の硬い木で、シダーほど乾いていない香り)を4種類のムスクで囲み、シダーとオリバナムを少し添えた香りと説明されています。
代表作7本を読み解く
2. 「アナザー 13」:雑誌とのコラボから生まれたムスク
ロンドンの雑誌『AnOther Magazine』との協業から生まれた香りで、英語版Wikipediaは2010年としています。公式によると、パリのセレクトショップ「コレット」が2017年12月に閉店したあと、定番のクラシック コレクションに加わりました。中心はアンブロキサン系の香料(公式の表記はアンブロキシドで、公式は合成の動物性ムスクと説明)で、ジャスミンとモスが「とげと輝き」を足す、と説明されています。肌に溶けこむような香りで、SNSで話題になったニッチ香水の記事でも取り上げました。
3. 「ローズ 31」:男性的なバラ
4. 「テ ノワール 29」:紅茶の葉の乾いた香り
5. 「ベルガモット 22」:仮の名前は「ファイヤー コロン」
6. 「リス 41」:白い花の洪水
7. 「アンブレット 9」:植物のムスク
公式は、自然界でほぼ唯一のムスクのような香りを持つ素材としてアンブレットシードを中心に据え、柑橘と果物の組み合わせで新鮮でやわらかくしたと説明しています。商品ページでは「静かに輝く、繊細なサインのようなムスク」。公式の言葉どおり静かな方向の香りなので、香水に慣れていない人の最初の1本にも向きそうです。ムスクの香りはムスク系ニッチ香水5選でも比べています。
ル ラボを選ぶときのコツ
上の7本はいずれもオードパルファンとして販売されています。ル ラボは、名前の素材と実際の印象がずれることがあるので、名前で決めずに必ず香りを確かめるのがおすすめです。
試す順番(編集部の提案)
- 01控えめな香りからアンブレット 9、アナザー 13のような肌に近い香りから始めると、ブランドの「静かな側」が分かります
- 02木とお茶へサンタル 33、テ ノワール 29で、乾いた木と葉の表情を確かめます
- 03個性の強い香りは最後にローズ 31、リス 41は印象が強いので、鼻が疲れていない最初のうちに単独で試すか、別の日に
ル ラボと並んでニッチ香水の入口になりやすいブランドについては、ディプティックの歴史と美学、その次の1本は最初のニッチ香水で失敗しない名作10選で紹介しています。
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