世界を変えた天才調香師10人|あなたの好きな香水を実は同じ人が作っている
香水にも、映画監督や建築家のように「つくった人」がいます。そして、あなたが好きな香水どうしが、実は同じ調香師の作品だった、ということは珍しくありません。ここでは、現代の香水を形づくってきた10人の調香師を、代表作とともに紹介します。
2026.10.23 · 6分で読めます

調香師とは?「ネ(鼻)」と呼ばれる仕事
調香師(パフューマー)は、数百から千を超える香料を組み合わせて、ひとつの香りを設計する人です。フランス語では親しみをこめて「ネ(Nez=鼻)」と呼ばれます。仕事は、ブランドから届く「ブリーフ」(どんな人に、どんな気分の香りを、いくらの予算でつくってほしいかをまとめた依頼書)から始まり、何十、何百という試作を重ねて完成させます。1本の香水に数か月から数年かかることもあります。
調香師の多くは、ブランドの社員ではなく、香料会社に所属しています。一方、シャネル、エルメス、ディオール、ゲランのように、自社専属の調香師(インハウス・パフューマー)を置くブランドもあります。以下の10人には、その両方が含まれます。
ブランド専属の調香師たち(シャネル・エルメス・ディオール)
1. ジャック・ポルジュ(シャネル)
1943年生まれ。1978年から2015年まで、シャネルの専属調香師を務めました。代表作は「ココ」(1984年)、「エゴイスト」(1990年)、「アリュール」(1996年)、ココ マドモアゼル(2001年)、ブルー ドゥ シャネル(2010年)。いまのシャネルの香水の顔ぶれの多くは、彼の時代に生まれました。
2. オリヴィエ・ポルジュ(シャネル)
3. ジャン=クロード・エレナ(エルメス)
1947年、香水の町グラース生まれ。子どものころ、祖母と一緒にジャスミンを摘んで香料会社に売っていたといいます。父も弟も娘も調香師という一家です。2004年から2016年までエルメスの専属調香師を務め、ナイルの庭(2005年)、テール ドゥ エルメス(2006年)を生みました。少ない香料で透明感のある香りをつくる作風で知られ、ブルガリのオ・パフメ オーテヴェール(1992年)も彼の作品です。
4. クリスティーヌ・ナジェル(エルメス)
1959年、スイスのジュネーブ生まれ。もとは医学を志し、ジュネーブ大学で化学を学んでから香料会社フィルメニッヒに入りました。本人は、当時の業界はグラースの調香師一家の男性を採るのが普通で、自分の入り方は珍しかったと語っています。ジョー マローン ロンドンではウッド セージ & シー ソルト(2014年)など47作をつくり、フランシス・クルジャンとナルシソ ロドリゲス フォー ハー(2003年)を共作しました。2014年にエルメスに入り、2016年からはエレナの後を継いで専属調香師になっています。
5. フランシス・クルジャン(ディオール)
1969年、パリ生まれ。香水の学校 ISIPCA(イジプカ、フランス・ヴェルサイユにある香水・化粧品の専門大学院)を1993年に卒業し、26歳だった1995年にジャン ポール ゴルチエのル マルをつくって世界的なヒットにしました。2009年に自分の名前のブランド、メゾン フランシス クルジャンを共同で立ち上げ、バカラ ルージュ 540を生みます。2021年10月からは、ディオールの香水クリエイティブ・ディレクターを務めています。
香料会社の名調香師たち
6. アルベルト・モリヤス(フィルメニッヒ)
7. ドミニク・ロピオン(IFF)
1955年、パリ生まれ。グラースにあった香料会社ルールの調香学校(現在はジボダンの一部)で学び、2000年から IFF に所属しています。代表作はジバンシィ「イザティス」(1984年)、フレデリック マルのカーナル フラワー(2005年)、ポートレート オブ ア レディ(2010年)。2018年にマスター・パフューマーの称号を受けました。
8. クエンティン・ビッシュ(ジボダン)
9. ナタリー・ローソン(フィルメニッヒ)
1987年に IFF に入り、2000年からフィルメニッヒに所属。ラリックの「アンクル ノワール」(2006年)を生み、イヴ・サンローランのブラック オピウム(2014年)を共同で手がけました。コーヒーの香りを大胆に使ったブラック オピウムは、甘い香水の流れを大きく変えた1本です。
10. ダニエラ・アンドリエ(ジボダン)
ドイツ・ハイデルベルク生まれ。パリのソルボンヌ大学で哲学を学び、1988年にシャネルでの研修を経て、翌年ルールの調香学校に入りました。プラダのインフュージョン ディリス(2007年)は、彼女がミウッチャ・プラダとともにつくったアイリスの香水です(アイリスの話)。メゾン マルジェラの「アンタイトルド」(2010年)も彼女の作品です。
早見表:あの香水をつくった人
10人の調香師と代表作
好きな香水の調香師がわかったら、同じ人の別の作品を試してみてください。香りの方向はばらばらでも、どこか共通する「手ぐせ」が見つかるはずです。手頃な価格で名調香師の作品を試したい人は、コスパの高い香水6選もどうぞ。調香師という仕事の歴史は調香師の一族と ISIPCA の話で詳しく書いています。
まとめ
- 調香師はフランス語で「ネ(鼻)」と呼ばれ、多くは香料会社に、一部はブランド専属で働く
- シャネルはジャック・ポルジュから息子オリヴィエへ、エルメスはエレナからナジェルへ受け継がれた
- クルジャンは26歳でル マルをつくり、いまはディオールの香水を率いる
- モリヤス、ロピオン、ビッシュ、ローソン、アンドリエは香料会社に所属し、多くのブランドの名作を手がける
この記事に出てくる
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出典(11)
- Wikipedia(英語版)「Perfumer」
- Wikipedia(英語版)「Jacques Polge」
- Wikipedia(英語版)「Olivier Polge」
- Wikipedia(英語版)「Jean-Claude Ellena」
- Wikipedia(英語版)「Christine Nagel」
- Wikipedia(英語版)「Francis Kurkdjian」
- Wikipedia(英語版)「Alberto Morillas」
- Wikipedia(英語版)「Dominique Ropion」
- CaFleureBon「Parfums de Marly Delina(Quentin Bisch)2017」
- Now Smell This「Nathalie Lorson(調香師の作品一覧)」
- Wikipedia(英語版)「Daniela Andrier」


























