グリーン&フィグ系ニッチ香水5選:イチジクの葉・樹液・実、そしてツタの青さ
イチジクの香水は、実の香りだと思われがちですが、実際に多くの香水が描いているのは、葉をちぎったときの青い香りや、枝から出る白い樹液のミルクのような香りです。この記事では、イチジクのどの部分を描いているかに注目して4本を選び、イチジクを使わないグリーンの香りを1本加えました。
2026.10.24 · 6分で読めます

イチジクの香りは「部位」で変わる
香水に使われるイチジクの香りは、ほとんどが調香で作られたアコードです。そのため、香水ごとに「イチジクのどこを描くか」の選び方がはっきり出ます。編集部の整理では、おおむね次の3つです。
イチジクの香りの3つの部位
- 葉([イチジクの葉](/notes/fig-leaf)):青く、少し苦い。ココナッツのような丸みを感じることもある
- 樹液・ミルク([フィグミルク](/notes/fig-milk)):枝や葉を折ったときに出る白い液を思わせる、クリーミーな香り
- 実([フィグ](/notes/fig)):熟した果物の甘さ。ジャムのような濃さから、みずみずしさまで幅がある
グリーン系の香水全般では、ガルバナム(セリ科の植物の樹脂。切ったばかりのピーマンや茎のような強い青さ)がよく使われます。イチジクを使わないグリーンの香りでも、この素材が青さの核になっていることが多くあります。
グリーン&フィグ系の5本
1. ディプティック「フィロシコス」:葉と樹液と木、イチジクの木をまるごと
この記事の5本の中でもっとも「木全体」を描いている香りで、甘さは控えめ。イチジクの香りがどんなものかを知る基準になる1本だと考えます。ブランドの成り立ちはディプティックの歴史と美学で紹介しています。
2. D.S. & ダルガ「デバーサー」:熟した青いイチジクとココナッツミルク
みずみずしい茎の青さと、ココナッツミルクのクリーミーさ、トンカビーンの温かい甘さのバランスが特徴です。フィロシコスより実と甘さが前に出るので、グリーンの香りは好きだけれど、もう少しやわらかさがほしい人に合いそうです。ココナッツの甘さが苦手な人は確かめてから選びましょう。
3. ヴィルヘルム パフューマリー「パープル フィグ」:海辺のイチジクの木陰
ガルバナムと山椒で青さとぴりっとした刺激をはっきり出しているので、5本の中ではもっともシャープなグリーンです。名前の「パープル」から甘い実を想像すると、印象が違うかもしれません。青い香りが好きで、甘さはいらないという人に向きます。
4. エッセンシャル パルファン「フィグ インフュージョン」:紅茶と柑橘のイチジク
柑橘の明るさと紅茶の落ち着きが加わり、5本の中でいちばん親しみやすい方向だと考えます。グリーンの青さは控えめなので、青い香りが苦手でもイチジクを試してみたい人に。お茶の香りが好きな人はティー系ニッチ香水5選と合わせて読んでみてください。
5. ディプティック「オー ドゥ リエール」:イチジクではなく、ツタの青さ
公式は、ツタが古代エジプトや初期のキリスト教では永遠の命の象徴とされ、ギリシャでは喜びと生命力の神ディオニュソスに、ローマではバッカスと詩の栄光に結びつけられてきたことにも触れています。香りそのものは静かですが、その背景には長い象徴の歴史があります。
イチジクのミルクのような丸みがない分、まっすぐで涼しいグリーンです。イチジクの香りの甘さやココナッツのような丸みが合わなかった人に、比較のために試してほしい1本です。
比べ方と、季節の合わせ方
5本の公式説明を読み比べると、イチジクの香りの多くが「夏」や「海」の記憶と結びつけられていることに気づきます。フィロシコスはギリシャの夏の海へ向かう道、パープル フィグは海辺の木陰、フィグ インフュージョンは南フランスの晴れた日、デバーサーは暑く湿った空気。イチジクが地中海沿岸でよく育つ木であることを考えると、自然な連想だと言えそうです。グリーン&フィグ系は、夏の光や木陰を思い出させる香りとして選ぶと、イメージと実際の香りのずれが少なくなります。
試す順番(編集部の提案)
- 01基準を決めるまずフィロシコスで、イチジクの木全体の香りを基準にします
- 02甘い方向と青い方向へ甘くしたいならデバーサーとフィグ インフュージョン、青くしたいならパープル フィグとオー ドゥ リエールへ
- 03濃度を確かめるフィロシコスにはオードトワレとオードパルファンがあります。この記事のノートはオードトワレの公式情報です
グリーンの香りは、トップの青さが強く出たあと、ベースの木やムスクに落ち着いていきます。最初のひと吹きで「青すぎる」と感じても、15分ほど待つと印象が変わることがあるので、すぐに判断しないのがおすすめです。季節で言えば、青い香りは初夏から夏、実と紅茶の甘さがある香りは秋口にも使いやすい、というのが編集部の見立てです。
5本の違いのまとめ
- 木全体を描く:フィロシコス(葉、樹液、木)
- 実とクリーミーさ:デバーサー(イチジク、ココナッツミルク、トンカビーン)
- 鋭い青さ:パープル フィグ(ガルバナム、山椒)
- 明るさと紅茶:フィグ インフュージョン(柑橘、紅茶、白い花)
- イチジクなしのグリーン:オー ドゥ リエール(ガルバナム、シクラメン)
苦手に感じやすい点もあります。イチジクの葉やガルバナムの青さは、人によって「草を刈ったよう」「苦い」と感じられることがあります。また、イチジクのミルクのような香りは、ココナッツや乳製品を連想させるため、甘い香りが苦手な人には重く感じられる場合があります。青さが苦手ならフィグ インフュージョン、甘さが苦手ならパープル フィグやオー ドゥ リエールから試すと、自分に合う方向が見つけやすいはずです。
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