世界で活躍する日本人調香師たち|大沢さとり・新間美也からグローバル香料会社の調香師まで
香水というとフランスのイメージが強いですが、世界の香水づくりには日本人も深く関わっています。パリや東京で自分のブランドを持つ調香師、そして世界の香料市場で大きな存在感を持つ日本の香料会社。日本と香水づくりのつながりをたどります。
2026.10.23 · 3分で読めます

大沢さとり:茶道・華道・香道の感性をフランス式の調香に
大沢さとりさんは、東京を拠点にする調香師で、フランス調香師協会の会員です。2000年に東京でサロンを開き、ブランド「パルファン サトリ」を始めました。和の伝統文化を背景に、日本人の感性による香りを探究していて、香道(香木をたいて香りを味わう日本の芸道)や茶の湯を思わせる作品で知られています。
代表作「サトリ」は2006年の作品で、伽羅(きゃら。沈香の中でも最上とされる香木)の香りを表現しています。2019年には、南仏グラースの国際香水博物館に、茶壺の形をしたこの香水が収蔵されました。博物館の担当者は、販売中の香水を収蔵するのは非常に珍しいと述べています。
新間美也:パリで和歌を香りにする調香師
新間美也さんは、静岡で育ち京都で学生時代を過ごした、パリ在住の調香師です。会社員だったころ、フランス人調香師が「調香はオーケストラの交響曲をつくるのに似ている」と語る記事を読み、3歳から音楽に親しんできた自分にもできるかもしれないと感じたといいます。そして1990年代の後半にパリへ渡り、調香の第一人者がつくった学校で学びました。
その後、自身のブランド「Miya Shinma Paris」を立ち上げます。百人一首などの日本の和歌から着想を得た香りが特徴で、パリの老舗百貨店ル・ボン・マルシェに自ら売り込んだことが成功のきっかけになりました。2024年5月には、グラース産のローズを使った「FUWARI」を発表しています。
インタビューのタイトルにもなっている「まず詩を書いて、その目標に向けて調合する」という言葉は、香りを言葉から組み立てる彼女の作り方をよく表しています。
日本の香料会社:高砂香料と長谷川香料
世界の香料会社の中で、日本の会社も大きな存在です。高砂香料工業は1920年に始まった日本最大の香料会社で、2013年には世界の香料市場の約5.2%を占め、世界5位とされています。メントール(ミントの清涼感のもとになる成分)を、ノーベル化学賞を受けた野依良治さんの研究をもとにした「不斉合成(左右の形が鏡写しになった分子のうち、必要な片方だけをつくり分ける技術)」でつくったことでも知られます。
長谷川香料は1903年に始まった会社で、特に飲み物の香料に強く、2011年時点で世界8位とされています。どちらの会社も香水だけでなく、食品や日用品の香りをつくっており、私たちが毎日ふれている香りの多くに関わっています。
日本の主な香料会社
デザイナーの名を冠した香水:松島正樹
ミニマルで性別にとらわれない服で知られるファッションデザイナーの松島正樹(マサキ マツシマ)も、自分の名前の香水を出しています。ただ、たとえば2007年の「マサキ/マサキ」をつくったのは、調香師ジャン・ジャックでした。ボトルや世界観は日本人デザイナーのもの、香りは海外の調香師という組み合わせです。日本人の名前がついた香水でも、つくり手は国をまたいでいる、という一例です。
日本発のブランドも増えている
近年は、CANOMA(カノマ)や EDIT(h)(エディット)のような日本のフレグランスブランドも増えました(なぜ日本で香水は不人気だったのか)。日本のお茶や木、花をテーマにした香りが、国内外で選ばれるようになっています。
日本のブランド・お茶の香り
まとめ
- 大沢さとりの「サトリ」(2006年)は、2019年にグラースの国際香水博物館に収蔵された
- 新間美也はパリで「Miya Shinma Paris」を立ち上げ、和歌から香りをつくる
- 高砂香料工業は日本最大の香料会社で、2013年に世界5位とされる
- 日本人デザイナーの名前の香水でも、調香は海外の調香師ということもある
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出典(9)
- NEWSCAST「香水の都、南仏グラースの国際香水博物館に パルファン サトリの代表作「サトリ」が収蔵」
- San-tatsu「PARFUM SATORI、新シリーズ「PARFUM EX」始動(2025年)」
- ニューズウィーク日本版「パリで成功をつかんだ日本人調香師、新間美也「まず詩を書いて、その目標に向け調合する」(2024年6月)」
- Wikipedia(日本語版)「高砂香料工業」
- Wikipedia(日本語版)「長谷川香料」
- Now Smell This「masakimasaki by Matsushima Masaki: new fragrance(2007年5月)」
- WWDJAPAN「「香水砂漠」と呼ばれた日本市場はなぜ変わったのか(ノーズショップ代表 中森友喜)」
- Wikipedia(日本語版)「香道」
- Wikipedia(日本語版)「沈香」







